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mako watanabe    ***   like the ocean we share, we are one in the same   ***               動物関連の記事を選びたい方は、カテゴリーの <ペット問題><@仕事> <動物福祉><動物関連イベント> からご覧ください。
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2年前の夏のこと。
近所に住む母の友人から突然の電話があった。
愛犬マイク(仮名。12歳だったかな)の具合が悪いとのこと。

その家は定期的に獣医師が通っており、かなり頻繁な血液検査をしていた。
しかし数ヶ月前からマイクは歩くのもしんどそうで、ついに立ち上がれなくなったと言う。

主治医の説明では腎臓が悪いとかで(このあたり、私の記憶があやふや)、もう手だてはないとのこと。
で、私に連絡してきたらしい。

腎臓の、何の数値が悪いのか訊ねると、分からないとの答。
聞けば、しょっちゅう行う血液検査の目的も、数値の変化も、何も知らない。

つまりそれまでずっと、マイクの健康管理は主治医に丸投げしていたのだ。
そしてマイクは今や息をするのも苦しそうで、主治医からは死を待つばかりと宣告され、慌てて電話してきたのだった。

私は専門家ではないから何とも言えない。
けれどたとえ治療できないとしても、取りあえず痛みや苦しみを取り除く方法はあるはずだから、私だったらセカンド・オピニオンを求めに別の動物病院を訪ねますと伝えた。

だったら動物病院を紹介してほしいと言う。
そういう状態で私が推薦できる病院は一軒で、しかも遠いですよと答えたら、
「全然、構わないから!」

こうした経緯で翌日、マイクは家から車で約2時間の距離にある病院へ向かうこととなった。
帰りの車中からかかってきた飼い主さんの声は、前回と違って張りがあった。

「腎臓がどうのという問題以上に、前立腺肥大なのですって」
「えっ、不妊去勢手術をしていなかったんですか」
「そう。だってマイクは血統がいいので繁殖させてくださいってブリーダーから頼まれていたし」
「……!」

ここでレクチャーを始めても仕方ない。
で、結局マイクは獣医師に「今までこんなひどいのは見たことない」と言わしめるほどの前立腺肥大で「これで立ち上がれるはずがない」くらい極度の貧血に陥り「よく生きてる」というほどの、間違いなく瀕死の状態なのだった。

治療とか何とかの前に、とにかく貧血を改善するため、取りあえず3日間の入院が決まった。
症状が落ち着いたところで、甘やかされて育ったマイクにとって家から離れることがストレスになるとの判断で帰宅。
そのときの院長先生の言葉。

年齢的にも症状からしても、すぐの手術は危険であるため、今はこのまま体力を戻す努力しかできない。
だからといって、手を離すようなことはしません。
往診しながら様子を見てゆきますから。

そうして院長先生か副院長先生による、病院を閉めたあと長距離ドライブをしての往診がスタートした。

あるときはマイクの状態が良く、「今日は血液検査をしてみよう」と採血。
先生方が帰ったあとの午後10時過ぎにマイクの家の電話が鳴る。

「結果が思ったより悪かった。先ほどの薬とは別のものを与えたいので、今から伺っていいですか」
そして日付が変る時刻に、新しい薬が到着する。

マイクが薬を呑めないと飼い主が訴えれば、動物看護士さんが粉状にしてくれる。
それでもダメだと言うと、甘いシロップに混ぜてくれる。
何も食べたがらないと相談すれば、さまざま風味付け、ちょっとした味付けの方法を伝授する。

万全のケアを受けたマイクは自力で歩き、食べ、自分のベッドで丸くなって眠った。
体調がひどく悪いとき、獣医師は病院を開ける前の早朝にも往診した。

そんな生活が2ヶ月近く続いただろうか。
一時は盛り返した体力ではあったが、マイクは疲れてしまった。

暑い夏の昼下がりに、永遠の眠りについた。
獣医師が輸血パックを持って、家まであと5分の距離まで駆けつけたのを待てずに。

飼い主はもちろん深く悲しんでいたが、
「できることは、すべてやっていただいた」
と、納得している。

その夜、私は獣医師に電話をかけた。
今までのお礼を述べるだけのつもりだったが、ついつい長くなってしまった。
どうしても、お伝えしたいことがあったから。

看病や介護にどれほど懸命に尽くしたとしても、後悔は残るものだ。
「もっとできることがあったんじゃないか」
「別の治療法のほうが良かったのではないか」
「別の獣医師にかかったほうが良かったのではないか」
「私の選択ミスだ……」
……etc.

「できることはすべてやった。心残りはない」と思えることのほうが稀だ。
そしてそれは、その後に襲いくるペットロスという苦しいほどの寂寞感と言葉に尽くせぬ悲しみの淵から立ち上がるための、どれほどの救いであることか。

獣医師の言葉。
「マイクはご家族にとって大切な子どもですから。ご家族も一生懸命だったし、私どもも同じでした」

心をギュッとつかまれる感じがした。
そして続く言葉に、かなり驚いた。

「もうちょっと状態が安定したら前立腺肥大の手術をするつもりでした。年齢のこと? 心配ありません。うちで12歳で手術した子が、15歳の今も元気に暮らしてますよ」

先生は、ただ命を長らえさせたのではない。
マイクの先を見すえた計画を持っていたのだ。



マイク
もうちょっと早く、君の飼い主さんと話すことができていたらと思う。
安らかに。




    

近日中に、当ブログのアドレスが変ります。
変更後は、以下のどちらかになる予定です。

http://www.mako-w.com
http://mako-w.com

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えぇ~っ(*^^*)
そんな素晴らしい先生がいらっしゃるのですね!感動しました!

かたや…

私は先日とある獣医師さんとネット上ですが喧嘩してしまいましたよ(* ̄O ̄)ノ

出産はイベントですから。愛犬がせっかく雌ならば一度は出産させてあげてください、と
飼い主さんに奨めているんです!
などとたわけたこと抜かすもんで…

ついでに断尾・断耳(スタンダードのためには)・声帯除去も賛成だと!!

無知で不勉強な飼い主の各愛犬たちに妊娠をさせ
ただでさえワクチンなど複数匹分儲け、
産まれたたくさんの子犬たちがみんな遺伝性疾患にかかっていたら
またまた治療費で大儲け!
治療費を払い全匹面倒みれる飼い主さんならともかく
負担に耐えられず、捨てられてしまうコもいるかもしれません。

せっかく獣医学をお勉強なさって開業なさったのでしょうが
申し訳ありませんが…

どうか消えてください。

と思ってしまいました(涙)ごめんなさい、眞子さんに愚痴ってしまい…

うちには素人繁殖による心疾患を生まれつき抱え、さらに捨てられたコと
悪徳繁殖屋でボロボロにされオーナーに虐待まで受けながら5~6年地獄を味わってきたコがいます。

里親になった直後すぐに2匹とも保険に加入し
年一度は健康診断を受けさせています。

心臓病のコは治ることがなくひたすら安静と投薬ですが、
主治医さんちにも同じく心臓病のコがいらっしゃって、
一緒に頑張りましょうと言ってくださいます。
心強い先生です。

アメリカの西山先生のようなプライマリー獣医さんを、
うちの先生も推奨しておられていて…
考え方も似ていて頼もしいのです。

日本中の動物の先生たちが、
眞子さんの先生やうちの先生みたいな方々ばかりに
なりますように…
ゆきらん 2009/05/05(Tue)19:41:40 編集
Re:無題
いつか、ゆきらんさんとお目にかかった暁には、獣医さん談義になってしまうかも。
しかも、かなり過激&辛辣な言葉が飛び交う予感がしてしまうー!

これからの獣医師には、ぜひ世界レベルのスタンダードを身につけてほしいです。
ネットが普及した現代なら、難しくないと思うんですよ。
そもそも日本人は勉強熱心だし手先は器用なんですから、あとは気持ちですね。

獣医師教育の現場も変わらなければなりません。
生命倫理や動物福祉の授業を、もっと本格的に取り入れなくては。

何十年も前に獣医大学を卒業したままの知識と技術で臨床を続ける獣医師については、世代交代を待ち望むのみです。
【2009/05/05 21:09】
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