mako watanabe ***
like the ocean we share, we are one in the same ***
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アメリカ在住の友人、ヨウちゃんから手紙が届いた。
「ついに、ついに、我が家に犬を迎えるよー!」
男の子3人の母親なもので、家事をこなすだけで大忙しの彼女。
一番下の子が小学校に入学したのを機に、長年の夢を実現させることにしたという。
もちろん、シェルターに行こう。
と思って調べていたら、それより近所に個人で保護活動をする人がいるのがわかった。
訪ねると、自宅の裏庭で何頭も保護している。
飼育環境もよろしいとは言えず、なんだかなぁと感じた。
そうは思っても、だからサヨナラと背中を向けられなかった。
ここから一頭でも出してやりたいと思って。
吠えまくる犬たちの陰で、じっとしている中型犬がいた。
孤独な瞳が印象的だった。
一旦、帰宅して家族会議を開き、その犬を迎えることに決定。
さてタミーを連れてきて裏庭に放すと、さぁっと走って物陰に隠れた。
しばらくは構わないでおこうと家族で話し、食餌と水だけ置いておいた。
でも、一向に出てこない。
翌朝見ると、庭の隅に穴を掘って、そこに引きこもっている。
誰も姿を見られない。
犬が家族に加わることを楽しみにしていた子どもたちが、犬用クッキーを持って待ち構えているのだが。
3日目、ヨウちゃんは穴の前にとんかつを置いた。
「これならどうだ」
タミーはとんかつに屈した。
それ以来、食に釣られてタミーは姿を現すようになった。
幻の犬ではなくなった。
でも究極の怖がりは骨身に染み付いていた。
撫でようとすると、あり得ないほど震えて体を硬直させ、目をぎゅっとつぶる。
リードを付けると固まる。
一度、ヨウちゃんの夫が無理に引っ張って散歩しようとしたら、近所の人から白い目で見られてしまった。
保護主に相談すると「ひどい虐待を受けていた犬だから」ということだった。
時間をかけて、家が安全な場所だとゆっくりわからせたい。
でも息子たちと友だちが、しょっちゅう出入りして騒々しく、それはタミーには恐怖だろうと指摘された。
タミーは保護主宅に戻された。
息子たちは揃って大泣き。
ヨウちゃんも大泣き。
夫は大弱り。
その後、何回かタミーの様子を見に行ったが、淋しそうな様子が堪らなくて足は遠のいた。
以来、一家は犬と暮らす夢を封印してしまった。
虐待が生き物に与えるダメージの深刻さは想像以上だ。
その残酷な状況から保護されても、何年も経過しても、傷は容易には癒えたりしない。
罪深い行為。
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