小学校での授業編
茶々が我が家にやって来た4月からしばらくの間、茶々を含めた犬のお散歩はお昼前後と夜遅くの2回していました。夏に入ってからは、あまりの暑さにさすがに昼には散歩できなくなり、それ以来時間はズレましたが。
我が家は私達姉妹の母校である小学校が目の前にあり、昼の部の散歩は小学校の下校時刻と重なることもしばしばでした。茶々が車椅子でガラガラお散歩していると小学生たちが群がってきます。「なにあれー」「足がへ−ん」「なんでこんなのつけてるのー?」「怪我してるのー?」と口々に騒ぎます。昼の散歩担当だった妹は、ここぞとばかりに小学生に話し出します。
「このコはねえ、捨てられちゃって、怖くって不安でママはどこお?おなかすいたよおってウロウロしてたら、車に轢かれちゃったんだよお。捨てられなかったらこんなことにならなかったかもしれないのにねえ。犬を捨てるってヒドイねえ。あなたたちも車には気をつけてねえ」云々。小学生たちはきゃいきゃい言いながらも真面目に聞いてくれて「かわいそう」「がんばってね」と言って「かわいい」と茶々を撫でてくれます。そうです、妹は茶々をダシにして、子どもをターゲットに「布教活動」をしていたのです!
…って言うとアヤシイですね。
茶々をシンボルに子ども達に命の大切さを伝えていたのです、ならいいかな。でもなんかエラソーねえ。
で、そんなある日、いつものごとく子どもらが群がってきたので、お決まりの茶々物語を聞かせていた妹は、小学校1年生くらいの一人の男の子の言葉に衝撃を受けます。
「でも、生きててよかったね」
 
生きててよかったね―。茶々が生きていることを、ただ生きているということを、肯定してくれる言葉。「かわいそう」「えらいわね」「がんばってね」「世話が大変ね」茶々と私たちに向けられてきたこれらの言葉より、ずっとずっと大事な言葉。自分たちでも気づかなかった言葉。ただ生きてるだけでいいんだということを小学生が教えてくれました。
妹は早速私たちの母校でもある、この子が通う小学校の校長先生宛にこのカンドーを伝え、子供達に命の大切さを教えたいと手紙を書きました。
そしてその手紙を犬の散歩がてら小学校のポストにポンと投げ込みました。

控え室にて レクイエム授業 茶々授業中


数日後、道徳の先生(石塚先生とおっしゃいます。性格:熱血漢)から授業をやっていただきたいとの電話があり、妹、ガッツポ−ズ。イエイ!
まずは先生に今の犬猫の現状を知ってもらわなくっちゃあと、「どうぶつたちへのレクイエム」「捨て犬を救う街」を携えて、鼻息荒く初打ち合わせにのぞむ妹。石塚先生は「こんなことがあるなんて驚きです」と同僚の先生にも本を回して下さいました。授業の進め方、表現の仕方、殺処分についてどこまで伝えるか(結局殺処分については、「保健所で殺されている」所まで伝え、ガス室で窒息死という方法は割愛することになりました。)、など何度か打合せをして、4年生の授業に参加させていただくことになりました。夏休みを目前に控えた7月の暑い日、第1回目のクラスに妹は足を踏み入れたのです。
前半は先生担当。「どうぶつたちへのレクイエム」から3枚の写真を拡大コピーし黒板に張ります。
「さあ、このわんちゃんたちを見て、どう思いますか?」
先生は何の予備知識も子供達に入れず、いきなり聞きます。
「かわいい」「毛がむくむくしてる」「こっちの犬よりこっちの犬の方が好き」「近所の犬に似てる」などの感想がしばらく続き、そのうち「なんか寂しそう」という意見が出ました。ここで先生すかさずツッコム。「寂しそうに見える?なんでかな?」
これに応えて子供達。「下向いてる」「何か遠くを見てる」「目が寂しそう」「檻みたいなのがある」「閉じ込められてるみたい」
またまた先生さらに見逃さず「檻?あー、これねえ。檻みたいですねえ。そうなんです。実は、この犬たちはもうこの世にはいません。」
先生は「650000」という数字を黒板に大きく書き、何の数字か子供達に推理させた後、日本の保健所で年間に殺される犬と猫の数です、1日に直すと1800匹です、と教えます。
これへの反応はクラスにより異なり「えーっ!」とオドロキの声を上げるクラスあり、ざわざわと静かにざわめくクラスあり、へーっと感心しているのか、よくわかってないのか…のような雰囲気のクラスありでした。
そして、この後いよいよ妹、堂々の登場。弾丸トークの始まり始まり〜。そうは言ってもベラベラしゃべってるだけでは子供達はすぐ飽きちゃいますから、先生を見習って簡単な質問形式にしたりしながら進めます。質問、意見がどんどん出るクラス、ほとんど出ないクラス、先程同様クラスにより様々です。子供達の反応を見ながらテキトーに(いや、臨機応変に)対応します。この辺り、我が妹ながら実にウマイなあ、とカンシンしてしまう。よくもまあ、原稿もなしにあんなにベラベラしゃべれるもんだ。いやあ、カンシン、カンシン。
 
4年生は全部で4クラスあり、このような授業をする中で、何度か茶々を連れて行きました。(皆様、長らくお待たせ致しました、やっと茶々がまた登場いたしました。)私が茶々の付き人になり(私はこのために会社休むヤツです、ハイ。有給休暇ってありがたいですねネ〜。)車椅子でガラガラと学校へ。妹は最初から茶々を連れて行きたかったようですが、どうにも気になっていたのが「犬を連れて校庭に入らないで下さい」という校門前の札。それは散歩道にしないでって意味だからいいんじゃない?と言う私に「いや、子供はこういう矛盾に、これだからオトナはって思っちゃうんじゃないかな」とめずらしく心配さん。で、先生に聞いてみればってことで、茶々を連れて行きたい旨伝えたら即OK。ほら、ごらん。しかし、心配さんは先生に自分の危惧を伝えます。と、盲導犬にも来てもらってデモやってもらったし、子供達って案外その辺は割り切ってますよ、だって。意外とオトナなのね〜、小学生ってば。
前半は先生のお話なので、私達は教室の後ろに控えていました。知らないおばちゃん達(本人達はまだまだイケテルつもりですが、小学生から見たら立派なおばちゃんなんですねえ。そりゃ、そーだ。自分達のおかーさんと同じ年くらいだもんね。いや、それより上?!)がいるだけでも子供達はちょっと気になる様子なのに、更に犬がいるもんだから、みんな前向きやしないです。チラチラ後ろを見たり、一番後ろの子はそーっと触ってみたりして。
一方茶々も何だか知らないところに連れて来られて「あれー?」という顔。椅子に座っている私と妹の間に敷いたタオルの上で、私達の顔を交互にのぞきこんでいましたが、すぐにそれにも飽きて、例のごとくチャッチャ☆チャッチャッと探検をはじめようと試みるも、リードに引かれて失敗。しょうがないので寝ちゃおっかなーと思ってるところで、教壇に登場させられ、キョトンとする茶々。
「この子には後ろ足がありません。どうしてかな?」
生身の犬、しかも後ろ足がない犬を目の前にして、子供達はすっかりこちらに釘付けで、なぜ足がないか、どうしたらこういう犬をなくせるか、等活発に意見や質問が出ました。
犬の触り方を教えて、実際に茶々に触ってもらったりもしましたが、一遍に来ちゃあダメよっつってんのにワーっと群がってしまって茶々がびっくりしてしまうので、これは改善の余地アリです。
 
茶々には疲れて大変なことだったと思います。でも子供たちにとって茶々はスターになりました。茶々が散歩のをするのを見かけるたび、授業で妹が伝えたことを少しでも思い出してくれたらなあ、と願います。
 
レクイエム授業 茶々授業中
<次回予告>
次は怒涛の小学校2年生編だっ!
4年生より更にお子ちゃまな子供たちを迎え撃つ、弾丸トーク妹&茶々の作戦とは?!
いや、茶々は別に作戦練らないけど。
乞うご期待だっ!
…っていつになるかわかんないんだから、やめなさいって、大々的に予告するの。
 
<追記>
先日三人娘の母さん経由で来た子犬達の里親さんになっていただいた方の中で、弟さんが小学校の先生というご家族がありました。子犬をお届けにあがった妹は早速営業(?!)開始。いつもの弾丸トークで見事弟さんをゲット!いや、弟さんの小学校の授業をゲット!
この4月に授業をさせていただきにあがれることになりました。
こういう出会いもあるんだなあ、としみじみする私であります。(さっ、有休とらなきゃっ。年